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和久傳の〈れんこん菓子 西湖〉

和久傳を代表する商品〈れんこん菓子 西湖〉。蓮根のでんぷん質である蓮粉を使い、和三盆糖と和三盆糖蜜で練り上げ、二枚の生笹で包んだ生菓子ですが、当初蓮粉は、「椀だね」として和久傳の料亭で使われていました。蒸し器で温め、塩と醤油で少し味付けしたものを土台に、海老や椎茸、柚子を置き、餡をかけたり、お出汁をはった椀物としてお出ししていました。

食感は少し違いますが蕨餅に似ていたことから、夏場のお菓子として使えるのではないかと、和三盆を入れて練り上げ、お料理の最後のお菓子としてお出ししたものが、今日の〈西湖〉の始まりです。笹で巻くかたちもこの頃に考えられ、最初は粽のように笹紐を結んでみたのですが中身が強ばってしまいます。独特の食感を活かすために、若水菜など野菜を束ねる今の結び方になりました。

微妙な手加減が必要な巻きの作業は、今も一つ一つ手で行われています。

料亭から、お弁当やお鍋、お菓子などをはじめとするおもたせの店「紫野和久傳」が始まりました。料亭の〈西湖〉をお弁当に入れていたところ、 評判を呼んでいつの間にか一人歩きを始めます。そこで、おもたせとして単品で販売をと考えましたが、もとはすぐにお召し上がりいただく料亭の生菓子。時間が経つと硬くなったり、色が濁ったり、さまざまな問題が起こりました。ご家庭でも料亭の味を美味しく召し上がれるように、当時の料理長たちが、調合や材料を変えて試行錯誤を重ね、おもたせとして販売ができるようになりました。

〈西湖〉は中国・杭州の景勝地で、蓮の花が浄土のごとく咲き誇る美しい湖が名前の由来です。蓮は泥にまみれず清らかに咲くことから、花の君子として尊ばれ、愛されてきました。紙箱には、数ある花の中で蓮を最も愛した中国・北宋の儒学者・周敦頤の「愛蓮説」が記されています。

季節ごとの〈ささのか菓子〉をご用意しております

  • 〈春〉春しずく
    葛粉をじっくりと練り上げ、
    桜の香りを添えて春霞の景色に見立てました。
  • 〈夏〉希水 
    笹とオオバコから作り上げ、
    ほのかに林檎の香りを添えた生菓子です。
  • 〈夏〉笹水無月
    水無月の祓えにちなみ、
    厄除けの小豆を使った葛菓子です。
  • 〈秋〉笹くり
    丁寧に裏ごしした栗と葛を、
    丹念に練り上げました。
  • 〈冬〉笹わらび
    わらび粉と洗双糖をじっくりと練り上げ、
    大納言小豆をしのばせました。