和煮 福久梅鰯
銀色に輝くいわしを、実山椒と一緒に薄味に炊いております。
小ゆびほどの寸法もほどよくて、
すぐに間に合うおつな酒肴になりますし、炊きたてのご飯にのせて、お茶漬けにもおすすめです。
いわしを煮含めることから、含めいわし。
梅を使うことから、福久梅鰯・・・というわけです。
高台寺和久傳では、献立の最後のご飯のときに
お漬け物と一緒に盛り合わせておりました。ご飯によく合います。
【炊きたてご飯に】
このままのせて、ほろっと身をくずしながら一口、また一口。
かみしめるほどにご飯がいっそうおいしくなります。
【あぶって】
そのままでもいいのですが心持ち火であぶって酒の肴に。
お酒を軽くふって電子レンジで温めるとふっくらやわらかくなります。
【おもてなしに】
人がたくさんお見えになるときに、大皿のぐるりにサラダ菜を並べて中央に福久梅鰯を盛ると、
姿がきれいにそろって見栄えのするオードブルの一皿に。
めいめい手で巻いていただきます。ベルギーチコリでしたら1本ずつのせておきます。
気の利いたフィンガーフードになるでしょう。
煮姿も美しく・・・
ここ数年いわしの漁獲高が減って、とても高価な魚に
なっています。
素材を見つけること自体難しく、
できる限りよい素材の確保につとめています。
いわしは一番小さいサイズの小羽で、
炊きむらがないよう同じ大きさにそろえます。
大鍋にざるを入れ、いわしが動かないよう
丁寧に並べていきます。
びっしり並べてそれを何層にも重ねるわけですが、
いつもほれぼれするような光景です。
量が多いといわしの脂やうまみもたっぷりで、
それが煮汁に溶けて、また身に返るうちに、
味わいが刻々深まります。
そこが煮炊きものの面白いところで、
なかなかご家庭ではこの味は出ないものです。